大阪高等裁判所 昭和28年(う)2392号 判決
弁護人は、原判決は被告人等に追徴の言渡をしているが被告人両名は本件受領金を候補者に返還しており、中川はその一部を選挙費用に支出しているから全額追徴は違法であると主張する。
しかし、被告人中川は検察官に対する第四回供述調書で本件五千円の使途について供述しているのであるが右供述によれば少しも選挙費用に支出されていないことが明らかであり、且つ今川より受け取つた千円札五枚は夫々自己の用途に処分したので本件検挙当時残金三百五十円であつたにすぎないことが認められ、被告人松村は検察官に対する昭和二十七年十月十三日附供述調書で今井から受け取つた本件一万円は長男と次男に分配し残金は家の金と一緒にして置いたと供述している。従つて被告人両名とも本件金員を自己の用途に費消してしまつていたものといわなければならない。従つてたとえ所論の通り被告人等が右受け取つた金額と同額の金員を後日河原候補に返還したとしてもその価額の追徴を免れる理由とはならない。